2004年度文芸部系!選手名鑑

2004年度文芸部系!選手名鑑

ミステリー劇場:消えた監督
赤字は「事実」もしくは「事実に基づく」ことでそれ意外は管理人の創作が含まれています。ご了承ください。


最新更新4月14日11:56

確かに最後に監督に会ったのはワシですがと佐々岡慎司は言った。話があるんで車の中で待ってろと言われたんです。だからドキドキしましたよ。
いや、ワシあっちの趣味はないですけぇ(笑)今年のチームの命運がかかっている、ぜひ 今年はセットアッパーになってくれや、と。正直「な、なんでや~」と
思いましたよ。長いことカープのエースをはっとったワシを。。だから、まぁ動機がないといえばウソになるかもしれませんが、、ってあわわわ、違いますよ、
ワシじゃぁないですけぇ。
100勝100セーブも達成したし、ここは縁の下の力持ちになろうと最後は快諾したんです。正直、 自分から志願しようと思っとったとこなんです。信じてください刑事さん。

ササの兄貴はそんなことできる人間じゃありませんよと黒田博樹が言った。ササ兄さん亡き後は、、あ、これじゃぁ死んだみたいだな(笑)先発陣はボクがひっぱていかなくちゃいけない。ま、正直これまでもボクが事実上はひっぱってたんやけど、わっはっは、あ、失礼。監督よりむしろマウンドで孤軍奮闘しているボクにナンの援護もない
打線
のほうを怨んだことが、あ、冗談ですよもちろん(笑)ボクはいつも自分の勝ちよりチームの勝利を考えてます。今年は建さんと左右のエースで投手陣を盛り上げていきますよ。ちょっと建さんのほうが頼りないんやけど、、、あ、これは本人には内緒ですよ(笑)

と言うのでソコはオフレコにして所轄は高橋建に話を聞いた。するといきなり彼はおめめをうるうるさせて
「ボボボボ、ボクはナナナナ、なんにも知りません」とうろたえた。がすぐ気をとりなおし、「去年は春から絶好調だったんだけど夏場から失速して監督やみんな
に迷惑をかけたから、今年はもう催眠術でもなんでもかけて夏場を乗り切ろうと決心したんです。キャンプ前は頭をボーズにもしたし、だから監督にもそれを
認めてもらおうとがんばってるんです、だからボクじゃありません!」と刑事の手を強く握り目の中の星を大きく輝かせた。ウソではないらしい。
デカのこころもくすぐるジャニーズシニア顔。恐るべしである。
が同じ左腕のエースの座を狙っている後輩の投手にきけばまた違う話がきけるかも知れないとデカは訪ねていった。

河内貴哉はあんまり野心はないようなぼ~~とした顔をしながらも、「今年のボクは建さんと違って、、あ、聞き流してください(笑)精神面のコントロールも佐々岡さん
から紹介されたお医者さん
のアドバイスを受けてばっちりです。もともとほらボクってドラ1だし力はあるんです。監督にはすごく期待されてるんです。
ときどき裏切るんで怒らせたりもするんですけど(笑)あ、ほんとは北別府コーチのほうが恐いかな。キャラは似てるんだからもっとあったかい目で見て欲しいな(笑)
だからボクに動機はないですよ、と彼は言った。そしてアイツもそんなことはしないと思うと、相方の名前をあげた。

その相方苫米地鉄人は「その時間だったらオレは寝てましたっ!アリバイ?そんなもんないっすよ。オレは練習以外は寝てるんです。そりゃ去年は2軍でもほとんど投げられなく
て期待を裏切ったけど、今年はキャンプ半ばで1軍に合流した去年10月に親指の手術をして4ヶ月で、ですよ。監督はそれを買ってオープン戦での先発を任せてくれた(クソ寒い日でまいったぜ)感謝してるんです。
今はまた下に下がったけど今年は絶対1軍マウンドで吠えてやるんだ、お~~りゃぁぁぁああ!!」といきなり叫び出し刑事はわかったわかったと押さえるのに
苦労した。他に気になることはないかね?と聞くと「あのヤロー、オレのいない間にアイツと、、」とつぶやくので聞き咎めると前からほけ~とした顔をした選手が
歩いてきた。

大竹寛はその風貌に似合わず力強い口調で言った。「今年は新人王の権利もあるんで絶対先発ローテに入ります。河内さんと新しい左右のエースになりますよ」
そして、その後「ボク河内さん好きなんです(ぽっ)」と顔を赤らめた。むむ、なんだそういう三角関係があるのか、こっちのほうが事件性がありそうだ。アブナイ。と思ったのは担当デカだけでは
あるまい。もう一度さっきのドラ1左腕と相方の男前右腕に話をきいたほうがいいかも、、おもしろそうだし、むひひ、、と思いながらもいや、このヤマをまず片付けなければとデカは後ろ髪を引かれる思いであったが諦めた。それはこの後また違う話となる、、。

ここまで聞いてきたところではなにも不審なことはなかった。デカの知っている、B姉さんやその友人たちからきいていた監督をめぐってのいろいろな話しでは
必ず動機をもつ選手がいるはずなのだが、と考えながら歩いていると男前の金髪の選手と出会った。
その男、長谷川昌幸はすこし斜に構えたような仕草でこう言った。
「去年は扁桃炎で出遅れて結果も散々でした。確かにマイペースな性格だし、カッコつけてるところもあるけどこれでもプロとしての潔さはあるんですよ。扁桃
炎の手術を拒否したけど、ま、、再発したらそれまでの選手ってことです。ね、潔いでしょ?」と言われたデカは(違うような気がするが)と思ったがクチには出さなかった。
「ちょっと風当たりは厳しいとこあるかもしれないけどボクこの件に関してはちゃんとアリバイはあるんですよ、だってその頃練習中に腕痛めて入院してたからさぁ、はっはっは、え?
笑えないって?」(爆)

はぁとため息をつきながらデカは次の選手に聞きこみをした。菊地原毅である。実直そうなその顔を見てデカは思い出した。2001年にあの鉄腕稲尾とタイのシーズン
最多登板
の記録を残したのだ。鉄腕稲尾か、、、とデカはパイプをくゆらせながら遠い目をしてつぶやいた。
「その後の2年は故障でなかなか試合に出れなくて監督の酷使を問題にする声もありましたが、それより小遣いをせびる新井やストレスが溜まるとボクをドツキにくる建さんのほうがボクにはモンダイで、、あ、これは内緒ですよ(汗)」

まったくこのチームは昔からケガ人が多い、、と思いながらデカは「初代サスペンス劇場の主役」と異名をとる小林幹英に会うことにした。
「ボクのデビューの年を覚えてますか?そりゃぁすごかったんです。カープにカンエイありと言われましたよ。連日の登板でも力いっぱい投げてチームを勝利に
に導いた。そのストッパーとしての印象があまりにも強烈で今でもこんな地味な柴犬顔ですがファンの間ではまだカリスマ的な人気があるんです。自分で言うと照れるナァ(笑)
でもやはり使われ過ぎが原因か故障し調子を落しましたがセットアッパーとして投げるようになりました。その時です、押さえるつもりが自分で種を蒔き自分で刈るという
サスペンス劇場を展開したのは(爆)でもそれがかえって人気だったりするんです、はっはっは(え、違う?)」

そのサスペンス劇場の2代目の主役が彼ですと紹介されたのが小山田保裕だった。
一昨年はクローザーを任されました。30セーブをあげ自信がつきました。カープの抑えはオレだと自負してました。え?「サスペンス劇場」ですか?
あ、まぁ正直ボクが押さえに出て反対にピンチを広げ(爆)チームメイトや首脳陣、ファンのみんなをハラハラドキドキさせたのは事実です。 でもそれでもやっぱり結果は数字としてちゃんと出てるんです。だから去年もボクを抑えに使ってくれるだろうと思ってたら、、、、」と言葉を詰まらせた。デカはソコをツイた。
しかし、監督はルーキーに乗換えた、、それが動機かね?監督をどこに拉致したんだ!?と詰め寄ると彼は「そんなことしません!ボクは今年こそ自分の力で抑えのエースの座を掴みとるんです!今は3軍で調整してるけど、きっと!きっと!」
その言葉にウソはないとみたデカは因縁のその去年のルーキーにあたってみることにした。

今年のキャンプでは首脳陣からかなり苦言を呈されたようですが、とデカがさぐりを入れると永川勝浩は「いやぁ、2年目にして調整を自分で任されたんです
よ。異例の待遇でしょう?じゃけぇちょっと調子こいたいうのはあるかもしれんです、がはは。体重が増えとるんじゃないかと言われながらもバレンタインのチョコを夜中にこっそり食べたり、あんまりピッチングもしたくなかったんで投げるときは監督昼飯でも食ってりゃいいのにって言ってみたり。伝家の宝刀のフォークはいつでも投げられると封印してオープン戦で解いたらぜんぜんキマラないし、正直さすがの肝っ玉のボクもビビりました。ほいじゃけどシーズンが始まってみんさい大丈夫ですよ。ボクは度胸だけはいいんです。ところで監督はまだみつからないんですか?」と反対にきいてきた。なんとも豪胆なヤツである。
コイツはリストから外してもよかろう。

デカはこんどは野手の選手にあたろうと方向性を変えてみた。まずは去年から問題になっていたあの選手。新井貴弘 である。

「確かに去年は監督の期待に答えられませんでした。なにをやっても裏目で
もういい加減4番の座から降ろしてくれと叫びたいことはなかったかね?というデカに彼はきっぱり「自分の仕事は自分の責任ですから」と言った。このチームの中ではもっぱら明るいムードメーカーでそれがファンに愛されていることもデカは知っていた。そしてみかけよりもずっと繊細なことも。キャンプ中はテレビカメラが向けられているのを承知で読む気もないのにベンチで新撰組の本を広げていた。監督がからかっていたシーンもあった。
それをみるにつけ彼がアンナことをするとは考えにくい、、が。

「アイツを疑うとは見る目がないな、デカさんよ」と後ろから声がした。デカはその声の持ち主から発散されるオーラに一瞬たじろいだ。「アレでもアイツは『ガラスのハート』なんだぜ。オレは体がガラスと言われてるけどよ、はっはっは」とその「サムライ」は笑った。前田智徳だ。「この中に犯人はいないよ、デカさんよ」
とっとと出て行ってくれと言わんばかりだ。噂どおりコイツはできる。しかし聞きこみは続けなければならない。

デカはこれまで9年間、日の目をみることがなかった、ある大型打者に話しをきくことにした。嶋重宣だ。
「確かに某解説者の方に『オマエはなにかと損してるとこがあったからなぁ』とは言われました」そうかもしれんとデカはその人のよさそうな彼の風貌をみて思った。左投手として高い評価を受けドラフト2位で入団したが肘を痛め打者に転向した。その間、なんというか、、とデカは言葉を選んだ。その、、監督から多少イケズされた、、とかという噂もきいたのだが、、と言うと「あ、ボク気にしてません。力がなかったんです。でも10年目の今年はほら、開幕から1軍ですよ。認めてもらったんです、がんばります!」とDr.でぶという怪しげな医者(笑)に名付けられたミドリノマキバオーそのままのような笑顔をみせた。

このチームの選手はみな穏やかで礼儀正しい。噂どおりだ。某在京金満軍団のような傲慢さは微塵もない。こんなチームにペナントを制してもらいたいものだ。
としみじみ思うのだった。
だがそれでは、、とデカはふと思う。いったい誰が監督を拉致したのだろう。
ほんとに犯人はこの中にいるのだろうか。デカは気がすすまなくなったのだが上の命令なので仕方ない。また新しい情報が得られるかもしれないし。
そのとき目の前を色の黒い少年が走っていったのだがどうせファンのチビッコだろうと思いデカはそのままやり過ごした。が、一瞬はっと気がついた。あれはちびっこファンなどではなかった。                                    

東出輝裕はその童顔に似合わず口調はクールだった。
「えぇ確かにエラーやバント失敗の多さを怒られました。去年初めてレギュラーからはずされ2軍にも落ちました。業を煮やしたんだと思います。でも今年は自分で言うのもナンですがかなりうまくなったと思います。なんと言ってもボクのウリは足です。ボクの応援歌どおり緑の芝生を走りますよ。え?そんなとこ走るんじゃないって?それもそうだな(笑)」
彼がそんなジョークを人前で言うのは珍しいらしい。
ふっきれたような印象さえ受ける。ということは彼にも監督との確執はないらしい。

デカはこのチームの将来の監督と嘱望されている、ナインの精神的支柱野村謙二郎を訪ねることにした。いや、彼を疑っているわけではない。ファンのあいだで未来の希望の星と期待されているのだ。どんな男なのだろう。
人気が出て年俸もハネ上がる頃になるとFAとやらを行使し某在京チームに行きたがる選手が多い中このチーム一筋に生きているこの男を見てデカは、やはり違うと思った。「今季2000本安打の記録はかかっていますが、そんなことよりとにかくチームの優勝です。若いヤツらに優勝の喜びを教えてやりたいんです。試合に出ていなくてもベンチに居ることがオレの仕事です」そうだろうとデカは思った。そして監督待望論が出ているようですがという問いには「い、いや、そ、それは、わ、わたしのクチからはなんとも、、」と少し焦り「おい!岡上!バントの練習せ~、バントの!」と言ってそそくさと行ってしまった。ふむむとデカは顎を撫でた。

その名指しされた岡上和典はB姉さんの証言ではロンブーの田村淳に似ているらしいということだがデカにはロンブーが何なのかそもそもわからない。そこでB姉さんにくだんの芸人の写真とキャンプ中にラッパーのように歌い踊る彼のビデオを貸してもらい比べてみて吹き出した。「似ている(爆)」しかもどうやらファンの間では「変わったヤツ」というイメージらしい。「だけど、ボク自分でいうのもナンですが走りのセンスはチームでも一番といっても過言ですよ!あれ、おかしいですか?」とにかくユニークであることには間違いない。こういうタイプはあまり思いつめることはなさそうだ、」と思いデカは彼の名前をリストから消した。
バントはヘタクソだと確かに言われてます。だけど、と別れる前に彼は言った。ボクよりウワテがいて、ほら、と指差しくすっと笑った。その先にいる男の顔を見てデカは思わず笑ってしまった。

前述の河内貴哉が「 出川~出川~」と呼んでいた石原慶幸であった。
「バントですか?はい、まぁ(汗)でも意外なところでホームラン打つんですよ。こういう顔なんで相手投手も気を抜くんでしょうか(笑)うーたんというニックネームは、はぁ、いいんじゃないんですか、ぼくソッチ系ですから(笑)リードの面でもいろいろ言われますが監督はボクを一人前にするために我慢強く使ってくれてます」朴訥とした喋りにデカは躊躇なく手帳のリストから彼の名前を消した。労多くしてしかし派手には決して騒がれないポジション、そのために生まれてきたようなヤツだ、、とデカは目を細めた。

それでは、彼に正捕手の座を明渡した格好になっている先輩はどう思っているのだろうとデカは西山秀二に話をきいた。
「ワシは忘れられちゃぁおりませんよ。今年は選手会長です。長年の経験はイザというときに発揮されるもんです。今年にかける意気込みは関係者もあっと驚くダイエットで証明済みです。でもそれじゃアンパンマンじゃなくなるなぁ(笑)とにかくワシがほんまの鯉女房ですよ。う~ん自分で言うと気持悪いのぉ(爆)」

顔で判断するのはデカとして甘いとは思うのだがどうしても疑う気にはなれない。
ほんとに選手の中に疑惑の人物がいるのだろうか。ひょとして外部に不審な人間がいるのではと思案しているときケータイが鳴った。所轄からだ。
「犯人から声明文が届いた」
「え?」
「監督はとうぶん預かる、あとは三村ヘッドコーチに托してくれ。監督の身は安全だ。腐っても鯉だ。往年のスターだった。充分敬意を表して扱っている、という内容だ」
「むむむ」とデカは唸った。
「開幕までになんとかしないと」という課長の焦る顔が目に浮かぶ。
「とにかく引き続き選手のへの聞きこみを頼む」
「はぁ、、ですが、課長、、」といいかけたときケータイは切れた。

つづく(しかしちゃんと完成するんだろうか、この名鑑)(汗)




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